どこでやれば成功するか?地域戦略

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第3章
成功する事業エリアの選び方 ~弱者のエリア戦略~

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◎「商品戦略」よりも重要な「エリア戦略」

前章の「商品戦略」では、弱者であるあなたが成功する天職の見つけ方や、強者・大企業に勝つ商品の探し方を紹介しました。

でも、抜群に競争力のある商品を見つけたり開発するのは難しいですよね。

現実的に考えると、ほとんどの方が前職で扱ってきた商品や、すでに世の中にある商品・サービスで勝負せざるをえないことになるでしょう。

画期的な新商品や新サービスを自分で開発するのは宝くじをあてるようなものだし、実際に新商品を編みだしても、すぐにマネされるのが世の常です。

「商品3分に売り7分」。

じつは、商品の良し悪しよりも、どこでだれにどうやって売っていくかという、エリア戦略と営業・顧客戦略のほうが大切なのです。

経営者であるあなたは、こちらに大きなウエイトを置き、頭を使ってください。

「営業エリア? そんなことは関係ない。とにかく売れればいい」。

という方も多いでしょうが、業種や商品によっては、このエリア戦略を知っているのと知らないのとでは、売り上げや利益に数倍、または1年で数百万円、10年で数千万円から数億円の差がでてきてしまうのです。

ただ、一部の特殊商品や通販・インターネット販売の方にはあてはまらない部分もありますが、ご参考までにお読みください。

ポイント! 商品3分に売り7分。あなたは売ることに力を注ごう。

◎アメリカにはないエリア戦略

営業エリアを決めるときに、どういう考え方で決めたらいいのか?

商品を売る場合には、会社と人の数が多い方が儲かるだろうと考えがちです。九州なら福岡、日本中なら大阪か東京が一番だ、いや全国が対象だと、まあ、みんなこう考えるんですね。

それがほんとうに正しいのか、考え直してみる価値はあります。

いまでもそうですが、経営学のほとんどはアメリカからのものです。日本の経営学者やコンサルタントもみな、その解説をやっている。

ところが、エリア戦略はちょっと事情がちがうんですね。

アメリカは国土が日本の25倍。かつ、平地は日本の40倍以上。アメリカはどこにいっても平地なんです。しかも、移民であるよそ者が確率的に入ってきている。

日本は、平安時代から藩があって、それが県になり、地域共同体があって人的な結びつきが多い。かつ、日本は島国で半島や島が多いので、どこのエリアで売るのかというのが、アメリカに比べてはるかに難しいんです。

つまり、緻密にやらないとうまくいかない。

逆に、アメリカでは細かいエリア戦略というのはありません。だから、アメリカから輸入してきた経営学のなかには、エリア戦略はほとんどないのです。

ポイント! 日本で営業するあなたは、日本独自のエリア戦略を学ばなくてはならない。

◎お客が多いところは敵も多い

「商売やるなら人口の多いところがいい」。
「胃袋の多いところが儲かるんだ」。
「営業エリアは広くした方が売り上げあがるよ。お客の数が多くなるから」。

みんなこう思っていて、こうするんです。

ところがね、お客が多いところには、競争相手がたくさんいるんです。あたりまえでしょう。みんな、お客が多いところの方が儲かると思っているんだから。

お客の多いところでは競争相手が、自分の会社を側面から妨害してくるんです。

しかも、競争相手との力関係は二乗比になるんです。ランチェスターの第2法則で、これが証明された。

それを戦争に応用すると、15%以内の誤差で戦死者の数がそのとおりにでてくる。人の殺し合いですからね。その程度の誤差なら大したもんですよね。

自分の力が1で敵が0・5でしたら、ほんとうの力関係は二乗になるので、1:0・25になります。自分が競争相手に比べて戦闘力をもっていれば有利ですが、戦闘力がなければ圧倒的に不利になってしまいますね。

ですから、人口が多いところがいいとか営業エリアは広い方がいいというのは、競争条件が有利な会社にとってはいい戦略なのです。

ところが、いまから独立しようという人や力が弱い中小企業は逆なんです。人口が多いところで営業しては失敗します。

競争相手が1で自分が0・1なら、二乗にすると自分は0・01。そんなもの勝てっこないんです。

地方でちょっと成功すると、すぐに東京や大阪や名古屋に支店や営業所をだす会社が多いですね。でも、人口の多い大都市には、必ず東京・大阪本社の大企業が何社も進出していますし、地元で長年やってきた強い会社がいるものです。

こういうエリアで、独立して間もない会社や小さな会社が営業すれば、特別な商品力をもたない限りは、強い会社からまもとに二乗作用を受けることとなります。

ポイント! 戦闘力は2乗になって弱者を襲う。経営は戦争と同じ。だからあなたは競争相手がたくさんいる都心部での営業は不利になる。

◎東京で三流より田舎で一流を目指そう

わたしは独立して講演活動に入り、いままで約4500回くらい講演しました。

「竹田さん、あなた本も書いているし、講演もおもしろいから東京にきて活動しませんか」といってくださる方もいます。

でも、東京にいったら三流なんです。東京にいったら確かに収入は上がるかもしれませんが、東京のようなエリアではわたしなんか三流なんです。

福岡でやれば競争相手が少ないから、どうにか二流でもやれるでしょ。福岡の田舎だから目立つんです。

これが東京の三流だったら、だれも講師によんでくれないし、本の出版もできなかった。だから、わたしのようなイナカッペーは福岡でよかったんです。といったら福岡の人に怒られるかもしれませんが、わたしも福岡なんで怒らないでくださいね。

読者のなかには「俺はこんな田舎で不利だ」と思っている人がいるかもしれませんが、東京や大都市で営業するより、それだけで有利なんですよ。

大都市には上には上がいくらでもいますからね。都会のみなさんで、どうもうまくいかんなという人は、田舎にUターンまたはIターンするのもいいですよ。

田舎は東京ほど強い敵がいないですからね。これも一つの生き方です。

なにかの事情で東京や県庁所在地に進出できない人も多いでしょう。

でも、それはそれでいいのです。鶏口牛後。大都市でビリよりも、田舎で一番を目指す。これが弱者の戦略です。

ポイント! これから起業するなら田舎はいいぞ。

◎地方でもだれもいかないエリアを狙う

とはいうものの、田舎や地方都市にも、各業界にはそれなりに強い会社がいるものです。

独立したばかりで商品や営業の差別化もできない会社が、強い会社から圧迫されずにお客をつくるには、営業エリアの差別化が必要になります。

それが「一騎打ち戦的エリア市場」です。

「一騎打ち戦的エリア市場」とは、たとえば、海や山や川など自然の障害物で分断され、地域の独立性が高く、しかも経済規模が小さなところをいいます。

つまり、強い競争相手がいない場所ということです。

離島、半島、入り江の港町、盆地、谷筋、山裾、川べりの市や町などなど。人口が多い市のなかでも、県境の市はあまりいく人がいないので穴場です。

地図を見るとわかりますが、日本は火山の島国ですから、「一騎打ち戦的エリア市場」が全国の約3割を占めます。しかし、離島や半島は交通が不便であるために見落とされがちです。

また、営業コストが高くつく大企業は、大都市や県庁所在地から離れている「一騎打ち戦的エリア市場」にあまり営業にいきません。かりに営業にいっても、取引高が知れているので本気で営業しません。

こういう大手が無視するエリアは、独立者や小さな会社にとってはチャンスです。

ポイント! 田舎にいるあなたは「一騎打ち戦的エリア市場」でより有利な経営を。

エリア戦略成功例その①――保険営業の場合

これは10年前の話ですが、日本生命の九州で約4000人くらいのセールスレディがいましたが、当時、成績が一番の人はどこにいたと思いますか?
人口100万人を越える福岡市や熊本市ではありません。

九州一のセールスレディは長崎の島、平戸というところの森聖美子さんというシニアでした。当時約20年連続で九州でほぼ1位。平戸は人口が2万人くらいの島ですよ。

最初は泣かず飛ばずだったそうですが、左遷された上司が戦略ある人で、「あなたはこの島を一件ずつまわりなさい」と指導したんです。

平戸は2万人の小さな島ですからね。腕に自信がある人は、もっと人口が多い長崎や佐世保にいく。田舎は無視して営業にいきませんね。だから、平戸の島では森さんが独り占めでライバルがいなかったんです。

「一騎打ち戦的エリア市場戦略」を実行に移したのが旧・安田火災(現・損保ジャパン)。損保では東京海上が、むかしからナンバー1で、安田火災は業界内では弱者の立場です。そこで安田火災は30年前にエリア戦略を勉強し、都心以外の島や郡部に力を入れたんです。

そのモデルエリアに選んだのが、島が多い九州。

その結果、都市圏ではいまも東京海上がナンバー1ですが、島や郡部では安田火災が圧倒的にシェアを握り、九州全体でも一番になりました。

エリア戦略成功例その②――住宅リフォーム業の場合

前章でも紹介した住宅リフォームの「ホームテック」。全国約10数カ所に展開していますが、都心をはずしたエリア戦略で年商25億円を叩きだしています。

人並みはずれたリーダーシップと意欲のある社長の場合、1店舗目が成功すると次々に拠点展開しますね。

おおいに結構なのですが、どこに出店するかは、きちんとした戦略をもたないと失敗します。一度出店すると簡単には退去・移転は難しく、全体の足を引っ張りかねません。

ホームテックのような多店舗展開型会社の場合、エリア戦略が命運を決めるといっても過言ではないんですね。

ホームテックは商品力では他を圧倒していますが、創業1999年とまだまだ青年期の会社。現場個々人の営業パワーでは業界の先発強者には劣ります。

そこで、出店エリアでは強者の多い東京や大阪の大都市圏はやめて、当初は四国や静岡の郊外に出店しました。現在は福岡市や名古屋市、仙台などの100万都市にも拠点はありますが、競争の激しい市の中心部は意識して外しています。

ホームテックはエリア戦略で敵との差別化をはかり、「強い敵とは戦わない」経営戦略をとって成功しています。

◎都市なら盲点・死角をまず狙おう

不幸にも?大都市でやらざるをえない人はどうすべきか?

一般的には、都市の中心部は人も会社も多いので、中心部で営業すると売り上げも利益も多くなると考えられていますね。

しかし、やっぱり、人口の多い都市の中心部は大企業や地元の大手が数多く存在し、他の会社も数多く営業にいってます。つまり、競争がもっとも激しくなっているのです。

そこに独立したての会社や小さな会社がいっても、とても勝ち目はありません。

人口の多い都市でも、周辺には山や丘がせりだしていて、半分盆地のようになっているエリアがあります。さらに、川や鉄道、高速道路、工場などの人口の建築物で、分断されているエリアがあります。

こういうエリアを「都市型の一騎打ち戦的エリア市場」といいます。

「都市型の一騎打ち戦的エリア市場」は盲点や死角になりやすく、大企業や強い会社の販売係は無視しています。つまり、都市のなかでもライバルがいないエリアです。

独立して間もない人や小さな会社は都市の中心部を避け、こういった都市のなかの田舎、死角を狙うべきなのです。

「都市型の一騎打ち戦的エリア市場」にある会社や一般住宅にはあまり営業マンがきていないので、都市の中心部に比べると面会率も高く、断りも厳しくないので、販売技術が未熟な人でもそれなりに実績がだせます。

人口の多い都市で独立した人は、まず都市の周辺部か郡部で得意先をつくって実績をだす。それから徐々に中心部に向かっていくのが正しい手の打ち方になります。

ポイント! 都市で営業するあなたは、まず「都市型の一騎打ち戦的エリア市場」から攻めていこう。

◎営業エリアは狭くしよう

営業エリアを広げると市場が大きくなる↓見込み客が増える↓売り上げも利益もあがると考え、小さな会社でも「ウチは関東一円。どこでもいきます」的な企業が多いですね。

しかし、少ない人数で営業エリアを広げると、特定の単位面積あたりに投入する販売力がそれだけ低下してしまうんです。

たとえば販売係の人数は同じなのに、営業エリアの半径を2倍に広げると、円の面積は半径の二乗になるから、単位面積あたりに投下する販売力は4分の1になってしまいますね。

外にでて営業活動する業種の日々の仕事時間を分析してみましょう。

①移動時間――自社から得意先、得意先から得意先までの時間。車、電車、徒歩
②社内時間――計画や企画、資料準備、伝票整理、会議、打ち合わせ、経理
③面談時間――お客と会っている時間、お客への電話、ファクス、ハガキ、メール

あたりまえですが、車に乗って移動しているとき、会議そのものは、なんの売り上げも利益も生まれません。経営で利益を生むのは、こちらの商品とお客のお金を交換したときだけ。つまり、利益を上げるには、③の面談時間(お客活動時間といってもいいですね)をいかに増やすかが大事になってきます。

移動時間を何%におさえるべきかは、1回の取引で生じる粗利益額によってちがうので、一概にはいえません。しかし、一般的にみると、メーカーで50%、卸売業で40%、建築材料を工務店に販売したり、食材を学校や工場の給食用に販売する業務用の販売業では35%が移動時間のマックスのようです。

また、事務機や小口の印刷業で1回の取引が比較的小さい場合は、移動時間を30%以下におさえておかないと、採算の維持が難しくなります。とくにダスキンや配達弁当のように小口な取引は、移動時間をもっと少なくしないといけません。

広いエリアをまわっていると、いかにも仕事をしているような気分になり、肉体的にも疲れます。この疲れがいい仕事をしたと錯覚させてしまうんですね。

「今日は200キロ走った。よし、明日は300キロ走ろう」。

走ったって意味はないんですよ。

自分では一生懸命やっているつもりなんです。でも、効率が悪いから利益は上がらない。

「近頃どうですか?」
「いやー、バタバタしてます」。

これを「バタバタ貧乏=バタビン」とよびます。これが小さい会社の社長には多いです。「全国バタビン協会」の支部長が務まるような人が全国にたくさんいます。

移動は新規開拓のときだけではありません。その後も納品、集金、アフターサービスと頻繁に発生します。とにかく、移動コストほど高くつくものはない。優秀な工場は、構内の移動時間がないでしょう。ムダがないようにしている。目にみえないロスをなくすことが非常に大事なのです。

とにかく、みえざる敵は移動時間だということを忘れてはなりません。

ポイント! 利益が生まれるのは、商品(サービス)とお客のお金を交換したときだけ。移動時間を短くするために、営業エリアは狭くしよう。

エリア戦略成功例その③――街の小さな不動産会社の場合

都心の死角をみつけ、営業エリアを狭くして成功したのが福岡の中洲にある、従業員10数名の「福一不動産」です。

エリア戦略を実行してから10年、年商は当初の20倍になりました。

社長の古川さんは、前勤務先の大手マンションデベロッパーをリストラ退社後、奥さんと2人でマンションの販売代理業を始めました。

創業当初、古川社長は、今日は福岡、明日は大分、明後日は熊本と、とにかく売れる見込みがありそうな客を求めて走りまわりました。売り上げは上がらなくとも、営業方法自体にはとくに疑問は抱かなかったそうです。マンション会社時代は、金持ちを狙った広域営業でうまくいっていたんですね。

マンション販売は大手の競合他社も多く、売れても一発勝負でお客との継続取引はないに等しいのです。広範囲を狩猟民族のようにさまよう日々で生活も追い込まれ、一か八かエリア戦略を実行しようと、自店周辺のマーケット調査をしました。

その結果、周囲500メートル圏内=約5500世帯の潜在市場を発見。うち3000世帯は歓楽街「中洲」のスナックやバー、クラブですが、その新規開店や移転で、なんと年間20億円もの不動産賃貸市場があった。普段は飲みにいく対象だった歓楽街は、実は眠れる市場だったのです。

創業4年目の冬、古川社長は車を手放し、営業方法を自転車と徒歩に変えました。そして、半径500メートル内をくまなく歩きまわって、またまた大発見をしました。エリア内には競合他社が実質1社しかなかったのです。この地区は歓楽街ということもあってトラブルも多く、不動産会社がやりたがらない「死角の地域」だったのです。

それからは、いままで福岡県全域にまいていたチラシを中洲地区だけに集中。チラシは毎週エリア内に手配りすることにしました。

さらに、地域のイベントや店を紹介した地域新聞を発行したり、お客の対象となるクラブやスナックが、どうやったら繁盛するかを共に話し合う勉強の場をつくったりと、地域のコミュニティに貢献する活動をしました。

福一不動産のウワサは中洲の歓楽街をかけめぐり、エリア戦略を実施して3カ月で月商は1,5倍、1年後には2倍、3年後には3倍に。1999年に年商750万円だった仲介手数料は、2013年現在で2億円弱と20倍以上になりました。

営業エリアを狭くするのは勇気がいります。

古川社長は戦略を学び、それまでのエリアを思い切って100分の1にしました。当初は売り上げが激減するのではと気が気でなかったそうですが、以前は7割近くあった移動時間が大幅に減り、逆にお客との面会時間が3割から7割と大幅に増えた。接客の数と営業時間が倍以上になれば、当然、売上も上がりますね。

宝の山は足下にあったんです。

◎究極の「陶山とつ→漢字に庵」エリア戦略

狭いエリアで集中的にお客をつくるときに参考になるのが、長崎県対馬で8万頭のイノシシを退治した「陶山とつ庵のエリア戦略」です。

ときは1700年頃、むかしから対馬には人口2万人に対してイノシシが約8万頭もいて、島民は農作物の被害に苦しんでいました。ただでさえ、数はイノシシ4:人間1ですから、人間がいくら槍や鉄砲で退治しても、春には子どもが産まれて、秋に育ったイノシシが仕返しにくる。毎年この繰り返しで、島民は諦めていたんです。

そこで立ち上がったのが郡奉行だった陶山とつ庵。

島を北から9分割し、東西に大垣を打つ。その大垣のなかをさらに内垣で細かく分断し、内垣内のイノシシを退治。これを繰り返し、1年で最初の大垣内のイノシシを全滅。2年目は次の大垣を東西に打ち、同じく内垣で囲んだなかのイノシシを全滅。これを繰り返して9年で、8万頭のイノシシを全滅させました。

こういうふうに、一つひとつ片づけていくやり方を「各個撃破主義」とか「個別目標達成主義」といいます。

つまり、一つのエリアに徹底して集中する。バラバラあちこちにいかない。

これをずーっと繰り返し、そのエリア内で圧倒的なシェアをとる。

だから、損害保険、リフォーム、小口の印刷など、どんな家庭や会社でもニーズはあっても1回の取引が小口の場合、陶山とつ庵のエリア戦略が有効です。

まず、自分の大垣=最大営業エリアを決めましょう。そこから先にはいかないラインを決める。

たとえば、電車の踏切、川、国道などで仕切ります。
次にそのなかに内垣をつくり、ここを集中的にまわります。

そして、ここで1位になるまでがんばる。1位になったら巡回数を減らして横へ移動。あちこちにいかないこと。じわじわといきましょう。そして、内垣内にお客を少しずつ増やしていき、敵を追いだすんです。

この「敵を追いだす」というのが一番いいですね。敵だらけだとパワーがとられて業績も上がらない。だから、敵を少なくする、せん滅するというのが大事ですね。

それが陶山とつ庵の戦略です。

陶山とつ庵の戦略は、対馬=ローカルの事例ですから、全国で応用が利きます。

ポイント! 敵を追い出すには、営業エリアを区切って、一つずつ攻略していこう。

エリア戦略成功例その④――住宅リフォーム業の場合・パートⅡ

ホームテックは、「陶山とつ庵エリア戦略」もとりいれています。

新しく出店したら、その店の営業エリアは車で往復30分以内のみと限定してしまっているんです。

すごいでしょ。車で片道15分といったら、かなり狭い営業エリアですよね。

営業所内には地図を拡大コピーし、川や大きな国道で分断されたラインでエリアを決め、そのラインを越えて営業・契約した場合、即刻クビの徹底ぶりです。

訪問ルートは大垣と小垣をまず設定。各営業マンは担当エリアを一軒ずつ調査・営業し、2カ月で一とおりまわり終えます。3カ月目からは、また最初から同じエリアを訪問巡回する。これを半年、1年、2年と継続しています。

この業界の営業常識は、「とにかくまわれ、売り上げを上げてこい」。

戦略はなにもない企業がほとんどです。一度まわったエリアで見込みがなければ、すぐに次のエリアに移動して無差別飛び込み訪問する。まさにバッタの集団移動みたいなものです。

そして、気がつくとドンドン営業範囲を広げて、いつの間にか狩猟民族のようになっている。

ホームテックは農耕民族。一度エリアを決めたら、最低で10年間はそこから動きません。陶山とつ庵戦略どおり、エリア内だけで深く深耕し、シェアを徹底的に高めています。

エリア戦略成功例その⑤――大手コンビニエンスストアの場合

大企業のケースですが、エリア戦略で決定的な差が業績に大きく影響した、わかりやすい例があります。「セブンイレブン」と「ローソン」です。

ローソンは1997年に全国47都道府県に出店しましたが、同じ頃のセブンイレブンは30県。セブンイレブンは常に店舗数も売上も1,5倍以上なのにですよ。2013年9月現在でも、セブン-イレブンはまだ四国や山陰や沖縄に出てません。

つまり、ローソンが全国制覇を急いで広範囲に出店したのに対し、セブンは出店エリアを絞り、そこでシェアを高めたうえで他に移動。戦力の分散を防いだんですね。

また、新店舗のだし方も、ローソンとセブンではちがいます。ローソンが県内全域にバラバラとだしたのに対し、セブンは一局集中出店。つまり、車で走るとわかりますが、「さっきセブンがあったのに、すぐ近くの同じ道にまたセブンがある」という光景を、目にした読者の方は多いでしょう。

コンビニの運営は典型的な小口配送。パン等の生鮮品は日に2度も3度も配送する必要があります。本部からすると、この配送コスト・時間はバカにならないのです。

本部にとって、加盟FC店は顧客です。小口の配送が多い場合は、遠くにいかずにエリアを絞り、そのなかで多くの客をつくる。これがコンビニ等では基本戦略です。

本部の業績はどうでしょうか。2012年度の一人あたり経常利益では、ローソンが1030万円に対してセブンは3200万円。

エリア戦略の差だけではありませんが、なんと約3倍もの差が開いています。

1店舗あたりの年商もセブンが2・3億に対しローソンは1・7億と約3割の差があります。

商品の品揃えや接客サービスなどは比較的短期間で改善できますが、一度出店した店はFC契約などによって10年~20年は移転が難しい。小手先の戦術や販促キャンペーンをやっても、戦略の差は取り返しがつかないほど大きいのです。

エリア戦略成功例その⑥――訪問販売個人フランチャイズの場合

「ダスキン」の個人事業主で毎年九州トップ3に入る、「ダスキンサーブ」伊藤代表は創業期からエリア戦略を実行しています。

福岡市内は人口約150万人と、ローカル都市では大きい規模です。市内のアチコチにそれなりの市場があり、営業にとっては目移りするエリアです。

しかし、伊藤さんは営業エリアを市内の3カ所だけに絞り、それ以外の地区からはいっさい仕事をとらないようにしています。ダスキンの仕事は典型的な小口取引。マットやモップの交換で月に2000円~2万円くらいが中心です。

伊藤代表は、社会人になってすぐの頃からランチェスター戦略を研究。サラリーマン時代に、医薬品営業(ムヒの薬店向け営業)で社内ナンバー1になり、その次に勤めたスポーツ機器営業でもナンバー1になっていました。

ダスキンをやるときも、エリア戦略が一番大事だとわかっていたそうです。だから、最初はだれもがすがる友人知人の紹介にはいっさい頼らなかった。

紹介だと、エリアがアチコチに飛んでしまいます。エリア戦略をまちがえるとあとが大変です。広範囲に客をつくると移動にばかり時間をとられ、すぐに物理的限界に達してしまいます。

ダスキンの場合、一度契約をとると、それからは2週間に1回必ず定期巡回しなくちゃいけません。あとから手間がかかるからと、契約解除もしにくいですから、市内にアチコチ客をつくった人は、まさにバタビンです。

◎信念の人になるには、ヤケドが必要なこともある

経営というものは競争条件が不利だったら、不利でも勝てるところを探すことでうまくいくものなんです。

ホンダやソニーのように、小が大と同じ土俵で戦って勝つのはカッコイイけれど、あれは万に一つの天才の話。不利は不利でいいから、その不利な条件で勝てるところを探す。エリア選びもそうですよ。だから、不利な人でも勝てるエリアを探すんです。

そして、この原則を次は検証してみる。
これが大事。

強い人というのはどういうところにいるのか。経営規模が小さいのに圧倒的に1位になっているのは、どういうエリアにでているか。調べてみる。いろんな話を聞いていたら、情報が入ってくる。

自分の手で、聞いたことを検証すると信念になる。信念になると迷いがなくなるから、同じことをやったのでも力がちがう。

迷いながらやったものとね、相撲でもそうでしょ。迷いながら立ったのとボーンといったのは破壊力がちがうでしょ。これが信念の力。

じつはこの前も、わたしのお客で京都の飲食店から相談があった。エリア戦略もいいが、やっぱりマーケットの大きい東京でやってみたいと。そうとうな意欲がある人でね。

京都からいきなり東京は論外。おそらく失敗します。でもね、こういう意欲的な人は1回失敗しないとダメなんです。1回やけどをしないと熱さはわからないから。

でも、ルールを知っていたら、命取りにはならないんです。だから、1回東京にいきたい……ああ、いってくださいと。やっぱりまちがっていたと、痛い目にあわないと、信念にならないんです。これが人間の欲の深いところというか、愚かというか。

賢者は人の失敗を見て自分の教訓にするが、凡人は人の失敗を見ても自分の教訓にしない。自分が失敗して初めて学ぶといいますね。

失敗と挑戦は紙一重ですし、自分と会社の命に別状がない範囲でなら、やってみる価値はあるでしょうね。

ポイント! 競争条件が不利なあなたは、それでも勝てるエリアを探す。失敗してもそれを信念に変えるくらいの気持ちで。
エリア戦略3大原則と4つの効能

原則その① 強い競争相手が少ないエリアを選ぶ
原則その② 営業エリアを狭い範囲に絞る
原則その③ 絞ったエリア内で集中的にお客を増やす

すると、

効能その① 移動時間が少なくなる!
効能その② お客との面会時間が増えて売り上げが上がる!
効能その③ エリア内でのシェアが高まる!
効能その④ 競争相手が逃げだす!

-小さな会社☆儲けのルール(初版)

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